外国⼈労働者の雇⽤管理の改善等に関して
〜事業主の努⼒義務とは
先月に続き、今月は外国⼈雇⽤ルールの2「適切な雇⽤管理」について解説します。なおルール2はルール1と違い努力義務となります。
「外国⼈労働者の雇⽤管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針(以下「外国⼈指針」という)」(平成 19 年厚⽣労働省告⽰第 276号)」には、 外国⼈労働者が安⼼して働けるよう、 事業主が遵守すべき法令や努めるべき雇⽤管理の内容などが定められています。主な内容は次のとおり。
1.雇⽤管理の改善のために努めるべき事項
★平成 31 年 4 ⽉の⾒直しにより追加
労働条件 | 賃⾦、労働時間等主要な労働条件等について、⺟国語等、外国⼈が理解できる⽅法で明⽰・説明するよう努める。★ |
安全衛⽣ | 労働災害防⽌に関する標識、掲⽰等について、図解等の⽅法を⽤いる等、外国⼈が理解できる⽅法で⾏うよう努める。 |
保険適⽤ | 労働・社会保険に係る法令の内容及び保険給付に係る請求⼿続等について、外国⼈が理解できる⽤法により周知に努める。 |
⼈事管理 | ・社内規程等の多⾔語化など、職場における円滑なコミュニケーションのための環境整備に努める。★ ・外国⼈労働者の苦情や相談を受け付ける窓⼝の設置など、⽣活上⼜は職業上の苦情・相談等に対応するよう努める。★ ・外国⼈労働者が⼀時帰国を希望する場合には、休暇の取得への配慮その他必要な援助を⾏うよう努める。 |
2.外国⼈指針の基本的な考え⽅
特に押さえておきたい基本となる考え⽅のポイントは下記 2 点です。
●労働関係法令及び社会保険関係法令は国籍にかかわらず適用されることから、事業主はこれらを遵守すること。
労働関係法令:職業安定法、労働基準法、労働安全衛生法、男女雇用機会均等法等
社会保険関係法令:雇用保険法、労働者災害補償保険法、健康保険法、厚生年金保険法等
●外国⼈労働者が適切な労働条件及び安全衛⽣の下、在留資格の範囲内で能力を発揮しつつ就労できるよう、この指針で定める事項について、適切な措置を講ずること。
在留資格に応じて留意すべき事項は出入国管理及び難民認定法等よる義務
(例)資格外活動許可を得た留学生の就労時間の原則週 28 時間以内の制限等
3.外国⼈労働者の雇⽤労務責任者の選任
この指針に定める雇⽤管理の改善等に関する事項等を管理させるため、 外国⼈労働者を常時 10 ⼈以上雇⽤するときは、⼈事課⻑等を雇⽤労務責任者として選任することが定められています。
平成 31 年 4 ⽉、働き⽅改⾰に関連して改正された外国⼈指針
外国⼈労働者に関しては、 労働関係・社会保険関係諸法令をはじめ基本的には⽇本⼈労働者と同様です。ただし、在留資格や期限には注意が必要です。また、⾔葉や⽂化の違いをお互いに理解し、共に協⼒し合って働く環境づくりが重要となります。
外国⼈労働者が安⼼して能⼒を⼗分に発揮できる労働環境を整え、 事業の発展につなげてまいりましょう。