コラムそもそもパワーハラスメントって? 明るく働きやすい職場づくりのポイントをご紹介

そもそもパワーハラスメントって? 明るく働きやすい職場づくりのポイントをご紹介

 

令和4年4⽉1⽇、職場におけるパワーハラスメント防⽌措置が全企業の義務となりました。しかし、労働局へのハラスメントの相談件数は減少するどころか増加しているのが現状です。今回はパワーハラスメントとは何かを解説し、明るく働きやすい職場づくりのポイントをご紹介します。


1.パワーハラスメントの現状

都道府県労働局と労働基準監督署に寄せられる相談内容で最も多いのが「いじめ・嫌がらせ」69,932件(令和4年度)で、件数は年々増加しています。令和2年以降、いじめ・嫌がらせに含まれていたパワーハラスメントに関する相談は別集計となりましたが、パワーハラスメントの件数が50,804件(令和4年度)と大幅に増加していることから、問題の解決に至っていないのが現状です。


うちの会社にはハラスメント問題なんてない、と思われるかもしれませんが、ハラスメントを受けた人の約4割が「何もしなかった」というデータがあります。ハラスメントは受け手がどう思ったかが問題となりますので、意識せずにハラスメントを行なっていることも十分考えられます。どの職場にも起こり得る問題ですので、他人事ではなく自分のこととして考えることが重要です。


<参考データ 厚生労働省>
 令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況
 職場のハラスメントに関する実態調査について
 雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会(第4回)資料「ハラスメントに関する施策及び現状


2.パワーハラスメントとは

では、そもそも何がパワーハラスメントになるのか、定義を整理しておきましょう。
職場におけるパワーハラスメントとは、下記3つの要素を全て満たすものを⾔います。


 ① 優越的な関係を背景とした⾔動
 ② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
 ③ 労働者の就業環境が害されるもの


パワーハラスメントは上司が部下に対する⾔動だけではありません。 同僚間、 部下から上司であっても、業務上必要な知識や豊富な経験を有し、その協⼒を得なければ業務の円滑な遂⾏を⾏うことが困難である者からの⾔動が①に該当します。 そして、その⾔動が明らかに業務上の必要性がなく(②)、その⾔動により⾝体的⼜は精神的に苦痛を感じ、 不快な就業環境で能⼒の発揮に重⼤な悪影響が⽣じる等、 就業する上で看過できない程度の⽀障が⽣じる(③)ことがパワーハラスメントとなります。


パワハラの典型は、大きく6つに分類できます。


具体的な該当例は次のとおりです。


パワハラに該当するかの判断は、個別の事案について、当該⾔動の⽬的、⾔動が⾏われた状況等、様々な要素を総合的に考慮することが必要です。また、相談窓⼝の担当者が、相談者の⼼⾝の状況や認識に配慮しながら、相談者と⾏為者の双⽅から丁寧に事実確認を⾏うことも重要です。


3.ハラスメントは何が問題か

ハラスメント被害者の多くは心身の健康を害し、休職・退職に至ることがほとんどです。


また、直接の被害者でなくても、ハラスメントがある職場は雰囲気が悪くなり、全体の士気が低下します。従業員のやる気が低下しますから、当然生産性も下がります。そして、こうした職場環境の悪化は、労働者の定着率の低下につながり、優秀な人材から去っていくようになります。


しかも、悪いことを放っておくことで、不正、ルール不遵守の連鎖が起こり、企業の内部秩序の崩壊(モラルハザード)を招くといった負の無限ループに陥ってしまいます。


このようにハラスメント⾏為⾃体が問題であることはもちろんですが、万⼀社内でハラスメントがあるにも関わらず放置していたとしたら、そのこと⾃体が法令違反となり、罰則が課せられます。ハラスメントは行為者の人生はもちろん、会社の存続に関わる重大な問題なのです。


4.職場のパワーハラスメントを予防するには

ハラスメントは人間関係の問題、日頃からの適切なコミュニケーションによって問題の多くを防ぐことができます。ポイントは3つ、①独りよがりにならない、②相手の立場で考える、③思いやりを行動にする、に尽きます。

具体的に職場で取り組むこととしては、まずは労働者全員が、パワーハラスメントについて十分理解し、その防止に努めましょう。

そして、日々のコミュニケーションの中で、誤解が生じないように十分注意することを心掛けてください。労働者が、お互いを尊重、理解し、パワーハラスメントが起こらないように努めることが重要です。

自分の行為がパワーハラスメントになっていないか注意すると共に、自分の経験や価値観による思い込みがないか、意識的に振り返ること、同時に、職場の変化に目を配ることも大事なことです。パワーハラスメントを受けていても誰にも相談できない人もいます。そのような人がいないかの気配りを忘れないようにしましょう。

ハラスメントは⾏為者がどう考えてその⾔動をしたかではなく、相⼿がその⾔動をどう感じるか・受け⽌めるかが問題となります。受け⼿となる相⼿の⽴場になって考える、相⼿への配慮・気遣いといった⽇頃のコミュニケーションが何よりの予防につながります。

互いを気遣い尊重し合い、よりよい就労・⽣活環境を皆で作っていきたいですね。


<ハラスメント予防のポイント>
●パワーハラスメントについての十分な理解・関心を深め、他の労働者(※)に対する言動に必要な注意を払う。
●お互いを尊重し、理解することが必要
●隠れたパワーハラスメントがないか、周囲のメンバーの変化に注意
●パワーハラスメントを起こさせない、職場環境づくりの役割理解(管理職)
●事業主の講ずる雇用管理上の措置に協力する

PAGE TOP